花が咲いた後、左側の写真のように、花弁が落ちてきます。
全部キレイに落ちてしまえば、病気の心配もなくて良いのですが、
粒の表面に張り付いて残ったり、粒の根元に残ったり、します。
写真の房も、なんか粉っぽいような感じしてます。
2、3日すると、右側の写真、マッチ棒の先くらいになります。
まだ、ちゃんと実止まりしたのか、実止まり不良なのか、分からない状態です。
畑全体を見回して、必要な分の花が咲き終わったと思ったら、 肥料を蒔いて、ドンドン水を与えて、実を太らせます。
正常に実止まりしてれば、有核って言うんですけど、
日に日に、目に見えて、粒が太ります。
そういう時期なのです。
こんな感じの大きさになるまでには、そう何日もかからないくらいに、
けっこう速いのです。
左側の写真で、大豆の大きさくらい、
右側ので、指の大きさくらいです。
メジャーでも置いて写真撮れば、大きさ分かって良かったんですけど。
気が付いてると思いますけど、 地面に張ってたビニール(「マルチ」って言ってます。)は、 花が咲き終わる頃には、剥いでしまいます。 ビニールマルチを敷いたままでは、水をかけられませんから。
ビニールマルチを剥いだ後は、なんだか写真映りが良くなったような気がします。 緑色が映えるようになったみたい。
見ての通り、こんなのは、あんまり良くない実止まり状態です。
何故って、やっぱり、房型が小さいからです。
お客さんの要求は、「房が大きくて、粒が大きくて、美味しくて」...ですから。
でも、これなんかは、まだマシな方なのです。
花咲くときの天気によっては、あんまり贅沢言えない年もあるんです。
10粒でも残ってれば、粒が大っきくなってくると、
それなりに見栄えがするようになります。
粒が少ないと、1粒当たりの栄養状態が良いのか、
普通の房よりも1粒が大きくなって、けっこう美味しいとこになります。
これは、「流れた」とか、「ふるうた」とか言ってる状態です。
まぁ、要するに、全然実にならなくて、棒だけ、心棒だけ残ったのです。
この心棒も、もうじき、枯れて落ちてしまいます。
まぁ、どうしようもない状態です。
枝ごと切り落とします。
もっとも、同じ枝に、他にも花芽があったのなら、
そっちの実止まり状態に期待が持てます。
1本の新枝に、実止まり状態の良い房が2つあっても、残すのは1房だけですから、
1房が流れても、1房、まともに実止まりしてれば、
結果的には同じ、OKなわけです。
これは、「単為結果」って言ってる状態です。
この漢字、全然自信ないんですけど、
いつも「タンイケッカ」とか、「タンイ」とか言ってます。
見ての通り、多数の小粒が混じってます。
この小粒は、無核と言って、種が入ってなくて、
いつまで経っても、小粒のままなのです。
そして、美味しくないのです。
ウチでは、小粒を全部取り除きます。
そうしたら、だいたい流れ気味の状態と同じくらいの粒数になることもあります。
2粒、3粒しか残らないこともあります。
単為結果になるってことは、
樹が、新枝が、元気良すぎるってことなので、
この残った有核の実は、ドンドン栄養を吸収して、非常に大きくなり、
一番美味しい実になります。
美味しい葡萄を食べたいんなら、こんな実を葡萄狩りするのが一番です。
房が下がってる枝が太くて、粒が少なくて、粒が大きいの、です。
巨峰に似たピオーネの無核栽培、種無し栽培は、
この種無し状態の実を、薬品処理によって大きな粒にしたものです。
薬品処理と言ったら、無核栽培してる人に怒られちゃいますね。
えーっと、無核でも大きくなるような肥料を、粒につけてやる、のです。
個人的には、種がある方が自然な状態だし、美味しい、と思います。
実止まり前は、予備ってこともあって、 1本の枝に2房、3房分の花芽を残して、房切りとか手入れしてたんですけど、 そのまま残しとくと、粒が太らない、色が着かない、 最悪状態では、樹がダウンしてしまう、枯れてしまう、 ということで、1枝に(一番良いのを)1房だけ残して、 あとは切り捨てます。 また、枝数が多すぎるときは、枝ごと切り捨てます。 あぁ、もったいない。
みかんでも、何でも、農作物なんて、こんなもんです。
大きな、美味しい実を収穫するためには、間引きが必要なのです。
最初から、必要な数だけの花芽を残して、花芽欠きしちゃえば楽なのに、
って気もすると思いますけど、
それが流れて実止まりしないと、1年、収入が無いのです。
で、収穫の確率を上げるために、予備をとっとくのです。
確かに、大変なんですけどねぇ。