袋かけ

 ビニールハウスの中では、全体的に透明感のある実になってきて、 ところどころに、色のつきはじめた果粒があります。 先に色がくるのは、こんなバラ房中の、小さめの粒です。 栄養がたくさん流れてくる小房の中の発育不良粒です。 だいたい、とって捨てます。 大きな粒に色がくれば、本格的な色つき時期で、安心して袋かけを始めることができます。

 時間的に、うまい具合に光が当たってなかったので、ちょっと色がでてないですけど、 けっこう奇麗な、明るい紫色です。



 緑色っちゃ緑色の果粒なんですけど、 白っぽいような水回り時期を向かえて、大きな果粒にも、チラホラと紫色の着いたのが見え始めました。 粒の先の方から奇麗な紫色になって、粒の根本の方は緑色してたりしますから、 紫色の着き方としては、なかなか良いんじゃないか、と思います。 ということで、袋かけを始めます。

 白粉ののったキレイな葡萄を作るために、もちょっと早く袋かけたい気持ちもあるんですけど、 ビニールハウスの葡萄は、果粒間引きを念入りにやって、 粒の大きさの揃った、食べて美味しい葡萄を作ろうとするのが、ウチのやり方なので、 こんな色着き始めた時期に、袋かけ始めることになってしまってます。

 ちなみに、お盆過ぎのビニールハウスの巨峰で、この写真のような色になってれば、 (かなり緑色に見えると思いますけど、)もう美味しく食べれます。 でも、今の時期でこの色だと、ちょっとやそっと顔を歪めても、食べられるもんじゃありません。 少なくとも、ボクには、そう思えます。


 小、中、大、特大の4種類の大きさの果袋を、エプロンの前ポケットに入れといて、 葡萄の大きに合った果袋を選んで、かけていきます。 なっかなか、これが。 でも、粒間引きに比べると、楽なもんです。 どんだけ房数あろうとも、一房につき、1回だけの袋かけで済みますから。


 袋かけが終わったら、ぶどう園の中は、こんな感じになります。 これで、葡萄の実を扱う作業は終わりで、 色の付き具合を観察しながら、台風が来ないことを祈りつつ、 収穫まで待つことになります。

 この後は、目立つような作業は無いんですけど、 ビニールハウスの中の温度管理やったり、 果粒の大きさの足りない樹に、肥料を追加したり、 太陽光の入りにくいところの、脇芽欠きやったり、 やらなきゃやらなくてよ良いけど、 やったらやったらで良い葡萄ができる、という作業は多いのです。 特に、温度管理が大事で、 暑すぎると、色着きが止まってしまいます。


袋かけ後しばらくして
 見てまわるときは、もっと色着いたものがあったのですが、 カメラ持ってるときって、なかなかみつけられないような、見つけても、光が足りないような、です。 葡萄の写真撮るのって、難しいわ、ホントに。
 ビニールが、光を遮ってますからね。 梅雨が明けたら、早くビニールとって、お日様の光を当ててやりたいです。 そうすれば、色が、味が、ぱーっと進みます。


 今年は、カラスやらの鳥が少ないのか、他に食べ物が多いのか、 袋かけの途中では、食べられた粒を見かけませんでした。 いつもの年だと、色の付きはじめた粒を狙って、カラスなどの鳥が寄ってきて、 ボク達も食べれないうちから食べちゃうんですよ。 緑色の粒はには、全く歯形も付いてなくて、色の付いてきた葡萄だけを食べるんです。 しかも、皮は、その辺に吐き散らして。
 「ドーン」という音のガス鉄砲とか、「ピーピーピー」という電子音を発生する鳥脅し機械とか、 ラジオを取り付けたりして、鳥を追い立てるんですけど、なかなか被害が絶えません。



最終更新日:1997年6月18日
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