ぶどう狩り・産地直売・地方発送                                      山門ぶどう園便り 2024年10月10日
    山 門 ぶ ど う 園
  〒 899−0132 鹿児島県出水市下知識町1116番地
  TEL 0996−62−1571    FAX 0996−62−4450
  https://roshiroshi.synapse.kagoshima.jp/  「山門ぶどう園」と入力して検索できます。
          巨峰(7月末〜)、シャインマスカット(8月中旬〜)、 ロザリオビアンコ(9月末〜)、赤嶺(セキレイ 9月末〜)、
          マスカサーティーン、ヌーベルローズ、マスカットノワール、紫玉(シギョク)、紫苑(シエン)
 7月初め頃に、晴れた日が続きました。 暑くて熱くて、ビニールハウスの中では、葉っぱが焼けてしまいそうでしたけど、 1週間後から大雨が続きそうな予報でしたから、ビニールはそのままで、本当の梅雨明けを待ちました。 収穫時期のように、着色してしまってる状態になると、 ちょっとやそっとの大雨でも、粒が割れたりすることはないんですけど、 ビニール除去して環境変わった直後に大雨に遭うと、太りながら色着こうとしてる粒は割れてしまうことがあります。
 ぶどう園としては、この3日間とか、一週間とかの梅雨の晴れ間がとっても大事なのです。 この期間に着色が進むと、その後に雨続きになっても、わりと着色が進み続けますが、 この晴れ間の間に着色が進まずに、そのまま雨続きになると、粒が太るばかりで、ほんとに着色が止まってしまいます。 追肥をしたり、陽当たり良くなるように枝管理したり、できるだけ頑張ります。
 雨が降った後の7月17日、18日に、ビニールを除去しました。 着色が進んでないと、一日でも早く陽射しを当てて、って焦るんですけど、 梅雨の晴れ間が長くて、本園の巨峰は、わりと着色が進んでいたので、 大雨が無さそうな予報を待ってるうちに、昨年よりも2日遅れとなりました。
 7月20日だったか、お客さんが来られて、「孫に」と言われて断りきれずに、 小屋の掃除、売り場作りしていたスタッフが、少しづつ巨峰を採り始めました。 採って来て、選別、箱詰めなどしてるときに、他のお客さんが来られると、 またまた断り切れずに、そのまま収穫開始、販売開始となりました。 園主(僕)は、追肥とか、脇芽摘みとか、まだまだ畑仕事ばかりです。

 印刷会社さんが残念そうにしてらしたんですけど、今年も、新聞折込チラシは入れなかったです。 収穫開始の状態としては、着色した巨峰がありますけど、 高温だったり、雨が降り続いたりして、なかなか着色しなかった年もありましたし、 シャインマスカットなどの種無し品種も、収穫開始できる日付が分からないので、 収穫できたときに発送します、としか言えないので、 大々的に宣伝してお客さんを呼ぶってことは、難しくなってきてます。
 今年は、昨年までと比べると、種無し品種への切り替えで、巨峰の面積が少なくなりましたし、 古木を間伐して若木に切り替えてる年になったこともあって、 生産量が少ないと思うのです。 それもあって、宣伝をひかえながら、ということにしてます。 コロナ禍前頃までは、テレビ、ラジオ、雑誌の取材を受けて宣伝しようと、 ホームページ更新など頑張っていました。 でも、コロナ禍になってからは、せっかく紹介してもらった取材も断わりましたし、 数年前までとは、大違いです。

 一般的に、赤色ぶどうは、着色しにくいイメージなんですけど、 ヌーベルローズは、着色開始が早いですし、すぐに綺麗な紅色になります。 着色する時期になると、手のかからない良い品種ってことになりますけど、 着色前の実が硬い時期は、日焼け、縮果症に弱くて、 袋かけまで終わって、しばらく経ってから見に行くと、干からびてる粒があったりします。 それに、品種によって葉っぱの味が違うのか、葉ダニが発生しやすい場所に植えてしまったのか、 他の品種では、葉ダニが発生してなくても、 ヌーベルローズだけ、葉ダニに吸われて、葉っぱが黄色っぽく見えたり、枯れそうな色になってたりします。 緑色の葉っぱが生い茂るって感じがなくて、陽当たりが良すぎます。

 マスカサーティーンは、水回りのころに、割れてしまった粒がありました。 大雨のときに、ハウスの端っこの列を水が流れていたことがあって、 そこに植えてあるシャインマスカットは、割れることはなかったんですけど、 隣の列、水が流れていないとこに植えてあるマスカサーティーンは、割れた粒がありました。 皮が薄いのが原因か分からないんですけど、 枝先の果袋を外して見たときに、割れてる粒があったのです。 どこれもこれもひどい状態なんだろうか...?、って思っていたんですけど、 全部が割れてるわけではなかったです。 これまで小さかった粒が、急に大きくなろうとして割れてしまったように見えます。 すでに大きくなってた粒は、あんまり割れていないようです。 シャインマスカットと同じ種無し処理、作り方をしたんですけど、 軸が伸びず、房の長さが短いままなのです。 房の長さが伸びていないのに、粒が太ろうとしたので、 粒がくっ付きすぎて、押し合って、変形して、そのあげくに割れてしまったようです。 来年は、木が成長して、粒も、もっと大きくなろうとするでしょうから、 花が咲く前に、花房を切り詰めるときに、もっと長めに残しておくか、 花が咲く前に軸が伸びるような前処理液に浸けるか、粒数を減らしすいか、 何か良い対策のYouTube動画や文献が無いかなあ、って探しています。

 ヌーベルローズなどよりも1年遅れで植えたマスカットノワールは、 黒く着色するのは早かったですけど、なかなか甘くなりませんでした。 お盆前だったか、おやつの時間にスタッフに食べてもらったんですけど、 何の反応もなかったです。 しばらくはホッタラカシにしてて、久しぶりに食べたら甘くなってて、 おやつの時間にスタッフに食べてもらったら、今度は、甘い、美味しいという反応でした。 量産化したときに、どのような味になるのかは、まだ分からないんですけど、 黒く着色しても、しばらくは収穫せずに、 もっと熟成してから、糖度計で計って収穫するようにしたいと思います。

 ロザリオビアンコは、二重ハウスで夜温を上げて、早く新芽がでるようにして、 お盆前に収穫できるようにしていました。 でも、諸事情で、朝晩、二重ハウスの谷換気の開け閉めができなくなって、 普通の無加温ハウスにしたら、お盆前には、収穫できませんでした。 それに、同じハウスの中にあるシャインマスカットを種無し処理すると、 ロザリオビアンコまで種無しの小粒になってしまったり、 花が咲く時期が違うので、農薬散布のタイミングも違っていて、 時期が遅いロザリオビアンコが虫に食われたり、病気が発生したりしてました。 長いこと迷ってましたけど、ロザリオビアンコは間伐して、 シャインマスカットなど、種無し処理する品種だけにしました。
 ロザリオビアンコは、シャインマスカットとは違った味で、 好きな方も多いですし、僕も好きですし、ふるさと納税返礼品としても人気がありますから、 分園のトンネルハウスには、そのまま残してあります。 無加温ハウスのときより遅くなりますけど、9月末くらいから収穫できるんじゃないかと思います。

 巨峰の無加温ハウスの中に、ヌーベルローズ、マスカットノアールの苗木を植えて、 3年、4年くらい育てれば、木が大きくなって、巨峰から切り替え終わるかなと思って、 苗木を注文しました。 ビニールをはったり、はいだりが大変になってきているので、 ビニールをはりっぱなしにできる品種に替えていこうと考えていたのです。 でも、地元の方々が、実際に食べて美味しいなと思うのは巨峰です、って意見はよく聞きますし、 種有巨峰以外は、需要の多い盆前には収穫できませんし、 なんとなく、これ以上は巨峰を減らしにくいなあという気持ちになってきて、 予定してた場所には植えなかったのです。 だけど、苗木は買ってあります。 ロザリオビアンコを間伐した辺りが、ぶどう棚があいていたので、 とりあえず植えて、1年間、2年間、育てながら植え場所を考えて、移植しようかなと思います。
 ビニールはり以外にも、巨峰から種無し品種に切り替えたい理由があります。 まずもって、種有巨峰は、冬の剪定が難しい。 と言うか、樹形や、樹勢や、枝の太さ、長さ、考えることが多くて、 他のひとに教えてやってもらう、ってのが難しいのです。 そして、花が咲く前に、枝を広げたり、枝先を垂らしたり、陽射しが通るように枝を誘引するんですけど、 どの方向に広げるか、どのくらいの長さで垂らすか、好みがありますし、教えるのが難しいのです。 花が咲き終わって実になったら、どのくらいの枝には実をつけて、どのくらいの枝の実は切り落とすかとか、 だけなら良いんですけど、枝が短くても房型の良いのが生っていれば残そうとか、 摘果の判断も、なかなか教えづらいのです。 粒間引きとか、ぶどうの実を扱う仕事は、お願いしやすいんですけど、 枝管理は、好みを押し付けるようなことにもなりますし、 細々としたことを言いいますから、要求しますから、枝管理の重要性を理解してもらってないと、 なんでそこまでする...?、って感じになるのです。
 シャインマスカットなどの種無し品種は、冬の剪定のときに切る長さも決まってますし、 夏の誘引のときに枝を向ける方向も、枝先、脇芽を切る長さも決まってますから、 切り続けるのが大変ではあるんですけど、 慣れた人に、握力ある、体力ある、できれば背が高いってひとにお願いすれば、 園主がいなくても、なんとかなります。 園主がいなくても、仕事してなくても、ぶどう園が成り立って行くってことを考えると、 種無し品種に切り替えていきたいのです。

 もう20年くらい前かもしれないです、 東雲の里アジサイ園の宮上さんに、「こっちに来ぁん。」と言われたことがありました。 大川内地区の山を開墾して、ぶどうを作ることを勧められたのです。 標高の高い大川内地区は、この辺りに比べると、夜が涼しいようです。 あの辺りで巨峰を作っていれば、寒くて新芽が出るのが遅いだろうから、お盆に間に合うかは分からないですけど、 温暖化に苦しむ今でも、色着き良いだろうと思います。
 まあ、お客さんは、1年に1回、2回、まあ、そんなに回数来られるわけではないので、 それなりに来られてたかもしれないですけど、 今のぶどう園スタッフに、一年中、毎日通ってもらうには、かなり無理があるなあ、と思います。 それに、宮上さんの田圃では、稲をイノシシに食べられたり、 桜、モミジなど、苗木を植えても、新芽を鹿に食べられて、枯れてしまったりたりしてて、 ぶどうを作っていたら、イノシシも、カラスも、他の動物も、大喜びでしていただろうなあと、想像できます。